そうに畳をふい
た。
この意外な言葉で、私はふと自分を省みた。峠の婆さんにあおり立てられた空想がぽき
んと折れるのを感じた。
そのうちに突然四十女が、
「書生さんの紺飛白はほんとにいいねえ。」と言って、しげしげ私を眺めた。
「この方の飛白は民次と同じ柄だね。そうだね。同じ柄じゃないかね。」
そばの女に幾度もだめを押してから私に言った。
「國に學校行きの子供を殘してあるんですが、その子を今思い出しましてね。その子の
飛白と同じなんでですもの。この節は紺飛白もお高くてほんとに困ってしまう。」
「どこの學校です。」
7
一聽是大島,我的詩意更濃了,我又望了望舞女漂亮的黑髮,問了大島的種種情況。
“有許多學生來游泳呢。”舞女對女伴說道。
“是在夏天吧?”我說著回過頭去。
舞女慌了神,小聲回答道:“冬天也”
“冬天?”
舞女仍舊望著女伴笑了一笑。
“冬天也能游泳嗎?”我又問了一遍,舞女臉漲得緋紅,表情嚴肅地輕輕點了點頭。
“真傻,這孩子。”四十歲的女人笑著說道。
到湯野去,得沿著河津川的溪谷順流而下十多公里。越過山嶺之後,山巒和天穹的色澤
都使人想起了南國的旖旎風光。我和那漢子談個不停,完全親密無間了。等過了獲乘、梨本
等小村莊,便可以望見山麓下湯野的茅草屋頂了。這時候,我下決心說要同他們一起旅行到
下田。他聽了喜出望外。
到了湯野的小客棧前面,四十歲的女人臉上露出向我道別的神情時,漢子就替我說道:
“他說要和我們結伴同行呢。”
“那敢情好。常言道:‘出門靠旅伴,處世靠人緣。’像我們這樣微不足道的人讓您解解
悶還是可以的。那就請進來休息一下吧。”她漫不經心地回答道。姑娘們一同看了我一眼,顯
出毫無所謂的樣子,並不言語,只羞羞答答地望著我。
我和大家一起登上客棧的二樓,把行李卸了下來。鋪席和隔扇又舊又髒。舞女從樓下端
茶上來。她坐到我的面前,雙頰一下子漲得通紅,手哆嗦個不停,茶碗險些從茶托上滑落下
來,於是她順勢放在鋪席上,茶卻已經灑了出來。見她竟這樣羞澀難當,我不禁愣住了。
“真德行!這孩子情竇開啦。哎呀呀”四十歲的女人萬分驚訝似的蹙緊眉頭,把手
巾扔了過來。舞女拾起手巾,窘迫地擦了擦鋪席。
聽了這番出乎意外的話,我驀地想到自己。我感到在山嶺上被老大娘煽起的幻想驟然破
碎了。
這時候,四十歲的女人細細端詳著我,突然說道:“這位書生穿的藏青地碎白花紋上衣可
真不錯啊。”
“他穿的碎白花紋上衣和民次穿的花紋是一樣的。你說是吧?花紋不是一樣的嗎?”
她反覆詢問身旁的女人,然後又對我說道:“我在老家還有一個上學的孩子,現在想起他
來了。你穿的碎白花紋上衣和我那孩子的是一模一樣的。近來藏青地碎白花紋布貴得很,真
為難啊。”
“上什麼學校?”
8
「尋常五年なんです。」
「へえ、尋常五年とはどうも。
「甲府の學校へ行ってるんでございますよ。長く大島におりますけれど、國は甲斐の甲
府でごさいましてね。」
一時間ほど休んでから、男が私を別の溫泉宿へ案內してくれた。それまでは私も芸人た
ちと同じ木賃宿に泊まることとばかり思っていたのだった。私たちは街道から石ころ路や
石段を一町ばかりおりて、小川のほとりにある共同湯の橫の橋を渡った。橋の向こうは溫
泉宿の庭だった。
そこの內湯につかっていると、あとから男がはいって來た。自分が二十四になることや、
女房が二度とも流産と早産とで子供を死なせたことなぞを話した。彼は長岡溫泉の印半纏